会員ID 1458

特定非営利活動法人 ぼらんたす

DATA

※上記のアイコンはリンク先がない場合もあります

クーポン付!e-Townsトレカ

この画面をお店で呈示して下さい

※特典が無いカードもあります

※紙のカードのみ有効のお店にはその旨記載があります

Special Interview

スペシャルインタビュー

◎話しを聞いた人 事務局長/栗原 穂子(くりはら すいこ)さん(中央) 理事/阿部 幸(あべ さち)さん(写真左) 事務局/岩浪(いわなみ)はるかさん(写真右)

ボランティア活動をしたい、と思っている人が自主的、自発的な活動ができる取り組みを行なっています。
生きごこちのよい地域づくりを進めるNPO団体です。活動機会の提供、人材育成、コーディネート、研修の企画、講師の派遣まで地域のボランティア活動を幅広く支援しています。

インタビュー概要

「ぼらんたす」はボランティアの語源のラテン語からきています。意味は「自発的・自主的」自ら進んでやること。
鶴岡市にある「楽家(らくや)」という拠点を中心に様々な活動の場を設けています。
ボランティアをやりたい気持ちのある人、参加してみたい人、利用したい人など老若男女、地域を越えていろいろな人たちが集まります。
集まってきた人のつながりで次々と活動の輪が広がり支援活動は発展していきます。
ひとりではなく、みんなで楽しむ、そんな居場所「楽家」から始まった食の支援活動が、今、地域を越えて多くの人を巻き込むフードバンクの活動になりつつあります。

聞き手/北風加奈

ボランタリーな心や気持ちのある人々と地域づくりに取り組みたい

交流拠点として「楽家(らくや)」ができました

「ぼらんたす」事務局長の栗原さん、理事の阿部さん、事務局の岩浪さんの三人にお話をお聞きしました。

まずは、特定非営利活動法人として「ぼらんたす」設立を進めた事務局長の栗原さんに、設立の経緯とこれまでの歩みをお聞きしました。

栗原さんは社会福祉協議会のボランティアセンターや、東北公益文科大学地域共創センターでコーディネーター業務をしていた経験もあり、東日本大震災では日本ボランティアコーディネーター協会の福島事務局として、福島での活動にも従事しています。

「私がボランティアの業務に携わり始めた当時は、専門的な研修をする場が県内においてもあまりなかったんです」

栗原さんは2003年に庄内で開催された「第34回全国ボランティア研究集会・山形県庄内大会」に実行委員として加わりました。約1,300名が全国から参加する大きな大会から、庄内の各市町村を会場にした分科会に多くの学びを得て、いろいろと考えさせられたと言います。

「庄内では、その後大規模な市町村合併があって、行政や社会の組織が変化して、既存の市民活動団体同士のつながりが崩れていくのを感じました。ボランティアをしたい気持ちはあってもその気持ちが生かされない、活動する場がないという声も多く聞きました」

栗原さんは、ボランタリーな心や気持ちのある人々と一緒に地域づくりに取り組みたいと考え、特定非営利活動法人の立ち上げを考えるようになったのだそうです。

NPOとなった「ぼらんたす」の活動は、まず2010年から2012年ごろまでは、県内のボランティア担当スタッフや活動をしている大学生などに向けた研修会を開催することから始まりました。まず学ぶ機会をつくったのです。関東から講師を招いてスタートした研修会には、毎回30名以上の参加がありました。

「当初そこまでの想定はしていなかったんですが、やはり活動に関心があり、やりたいという気持ちを持つ人がたくさんいるんだな、ニーズがあるんだなという実感でした」

そして次に手掛けたのは、イベントの開催。『みんな違って、みんないい…みんな一緒!』というイベントを企画しました。シンポジウムやバザール、ステージパフォーマンスなどにたくさんの人の参加・観覧があり、そこでも新たな人のつながりができました。

「『ひとりでがんばらないで』というコンセプトで、連携・協働し、みんなでつくるプロセスを大切に、つなぎ手をつくることを始めました。健常者だから、障がい者だからという枠を取り除き、心のバリアをなくして同じ空間で楽しみ、一緒にいろんな活動ができるんだという発信をすることができたと思います。どんな人も安心して暮らせる地域づくりへの活動の一環となりました」

観客として参加した人が次の年にはスタッフとして参加してくれるなど、活動に広がりができたそうです。

そして、次に取り組んだのが対話の場をつくること。

『こころを元気にするプロジェクト』は、自殺予防の活動。県の委託事業として大きな活動になりました。いのちとこころを考えるつどいを開催し、研修や交流の場を創出するほか、行政や医療機関、保健所など専門家と連携して「やまがたこころ元気サイト」を運営・管理しています。サロンや相談会も定期的に開催しています。

「やまがたこころ元気サイト」リンク➡️ https://yamacoco.voluntas-npo.com

「自殺予防の活動は地域づくりなんです。生きることの包括的な支援につながります」

最近では取り組みについて各地で依頼を受け、講師として話す機会が多くなりました。

自殺の問題を特別なこととしない、ということをテーマとして、対話の場を大切にしているそうです。

そして、「ぼらんたす」では2015年から「居場所」づくりが始まりました。「楽家(らくや)」と名付けられたこの家で、今回は取材をさせていただきました。

「来て、居て、学び、活動できる場所で、地域に住むどんな人も参加し、交流できるスペースを作りたかったんです」

空き家をお借りして、「ぼらんたす」メンバーや、ボランティア活動に関心のある人、なにか手伝いたい人、相談をしたい人、いろいろな人が訪れ、出会い・つながり・支え合うための活動拠点です。

そして「楽家」に集うメンバーたちの自発的な協力を得て、子どもたちへの食や学習支援なども行う活動へ展開していきました。

生きごこちのよい地域づくりを目指して発足した「ぼらんたす」。“ひとりではなくみんなで、どんな人も”という考えのもと、活動は多岐にわたって広がってきたんだなあ、と感じました。

栗原さんは、これまでの活動の経験とつながりを生かした地域共創コーディネーターとして、人材育成にも協力・活躍なさっています。多様な場で「対話」を進めることができる人材や、多様な人や組織と「連携・協働」を促進する人材を育成するため、教育機関との協働による養成プログラムにも参加しています。

「今進めているのは、女性の居場所づくりです」

新しく作られたチラシを見せていただきました。まだまだ、栗原さんの思いはいろいろな方面へと伸びていきそうです。

サポートに加わるメンバーが自主的に提案、広がる支援の輪

こころを元気にする居場所から始まる地域づくり

「ぼらんたす」のメンバーは、それぞれが仕事や他の活動をしながらも、できる範囲でぼらんたすの活動をしているそうです。

相談会に携わる専門家などに加えて、研修会に参加し学んだ人、そして相談に来る人、支援を受ける人など、いろいろな人が「楽家」に集まります。

「楽家」で定期的に開かれている「こころ元気相談会」は相談は無料で、誰でも相談できます。法律のこと、家庭のこと、職場のことなどなんでも相談でき、一緒に考えていく場で、弁護士や産業カウンセラー、民間団体の相談員など専門家が悩みを聞く会です。事前の申し込みを受け付けています。

そして、こころが疲れた時、お茶を飲みながらほっとできる時間も設定しています。出入り自由で利用できる「こころ元気サロン」です。そこにいる人と自由にお話をしたりできます。こちらは申し込み不要です。

「問題を解決するというより、なんでも話せて相談できる場がある、ということが大切なんです。辛い思いをした人の話を聞く“傾聴”ということについても研修会を開いています」と栗原さん。

理事の阿部さんは、「ぼらんたす」で傾聴の研修を受け、活動をしているお一人です。

「お話を聞いていると、顔の表情が変わるのを感じます。少し明るくなるんです。こちらはただ聞いているだけなんですが、話していて気持ちの整理がつくと、前向きに変わっていく方もいます。ご自身が道を見つけていくんです」と阿部さん。

「そういう気持ちの部分のサポートが自立への大きな支援になると思っています」と栗原さんは言います。

阿部さんは数学塾を経営されています。仕事として子どもたちに関わりながら、家庭や経済的に困難を抱えている子どもたちにも、なんらかの形でサポートしたいという思いを抱くようになりました。

そんなときに「楽家」のこども食堂の活動を知り、協力を申し出たことがきっかけで「ぼらんたす」の活動に参加するようになります。そこから「楽家」での学習支援の活動へ発展していきました。

「子どもたちに学習支援をしたい、と思って提案したら受け入れてもらえて実現したんです」

それが『ぼらんたすスタ楽(スタディ楽家)』。ひとり親家庭など、事情があり学校や塾に通うことのできない小中学生に、数学・算数を中心に宿題や学習のサポートをおこなっています。

「子どもたちにとって、学校の勉強というのは大きなシェアを占めます。そこでのつまずきを克服できると自信につながります。そんなサポートができるといいですね」と阿部さんは言います。

「学習の面でのサポートはもちろんなんですが、実は居場所があることが心のサポートになっていて、学校へ行けない子どもや何かにつまづいてしまった子どもにとって、心のよりどころとなっているんです」と栗原さん。

また、子どもたちの居場所をつくる活動の一つとして「らくやこども食堂」「らくやフードパントリー」を開催しています。中心となって担当しているのは岩浪さん。

現在、育児中の岩浪さんはかつては「らくやこども食堂」に親子で参加していたことがあり、そこから縁がつながり、事務局スタッフとしてぼらんたすに関わるようになり、「こども食堂」「フードパントリー」等の食支援を担当するようになりました。

「幼い頃から親と一緒にボランティア活動に参加することが多く、ぼらんたすの活動には初めから親しみがありました。高校卒業後、専門学校で調理師免許を取得しており、でもそれを今まで仕事十分に生かすことができていなかったので、ぼらんたすで役立てることができてよかったです」

フードパントリーとは、様々な事情で経済的な困難を抱える人へ、食品を配布する活動です。最近、様々な企業や行政で開催されている家庭で消費しきれない食料品を集める「フードドライブ」、その活動で集まった食材をぼらんたすが受け取り、必要とされる家庭へそれをお渡しする役割を担っています。

「こども食堂というとカレー、という印象がありますが、個人的な想いでそれを払拭したくて、楽家ではいろんな食材を使った料理を提供しています」

デザートもすべて手作りしているそうです。

「元々、手作りが好きなんです。だから、子どもたちが喜んでくれる揚げ物や見た目の華やかな料理を作るのに、どれくらいの手間がかかるのか、それが仕事終わりの親にとってどれ程の負担かも分かります。こども食堂の開催は月に2回ですが、月に2回だけでもその負担から解放されて、こども達とゆっくりご飯を食べてほしい。そう思っていつも調理をしています」

「はるかさんの作るごはんおいしい!」と言って子どもたちは喜んでいますね」と阿部さん。

楽家のこども食堂の特徴は、とにかく楽しい居場所にすること。

「『残すのはダメ』と、食育的な内容を盛り込んでいるこども食堂もありますが、らくやこども食堂ではあまり厳しくしていません。みんなでサンドイッチや太巻きを作ったり夏まつりやクリスマス会をやったり、みんなで一緒に“おいしい・うれしい”という思いを共有する場を作っていきたい」と岩浪さん。

毎月2回目のこども食堂では子どもたちの誕生会を開き、お菓子のつめ合わせや、手作りケーキを用意して保護者、スタッフもみんなで祝います。

「子どもだけでなく、保護者の方にもちょっとしたものを作ってお祝いしたら、“まさか自分まで”と感動してくれる方もいらっしゃいました」

ぼらんたすの様々な活動から、栗原さんは女性の居場所が必要だと感じました。そして女性の居場所「ひなたcafe」を立ち上げました。お茶でホッと一息できる場の提供です。この活動は山形県の委託事業です。

「集まってきた方たちは、いろいろなおしゃべりの中で力が抜けて、ほっと一息つける場になっているようです。おいしいお茶やお菓子を楽しんだり、会食や女性が好むものづくりを盛り込んでイベントを企画することもあります。会話の中で、“こんな話してて大丈夫?”と思うような会話が飛び交うこともあるけれど、この場を信頼して安心してもらっているんだなと感じます」と栗原さん。

「楽家」に集まるサポーターの提案や資質を生かした活動が広がり、参加する人の声や気持ちに寄り添う活動展開をしていくことに、“認める・受け入れる”というポジティブさと、地域づくりに対する明るい気持ちを感じました。

利用者の声とともに、こどもの居場所カフェ、こども食堂の夏まつり、らくやマルシェなど、来て参加して楽しい企画が次々と実現しています。

「らくやこども食堂は、こどもから高齢者の方までどなたでもご参加できます」

栗原さんの気持ちは、すべての人の受け入れに向いています。「楽家」にはまだまだ、いろんな可能性があるのを感じました。

イベントや企画があると、「ぼらんたす」のメンバーや研修や講座に参加した人、地域の方、子どもから高齢者の方まで、関心のある人がスタッフとして集まってきます。

「地域の課題に目をつぶらない、見ないフリをしない。そういう人たちが、いつでも集まれる場所になったらいいなと思っています。サロンに来て雑談をしながら始まる話もあります。そしてそれぞれに地域のことを知り、ボランティアのことなどを学び、実践する場を作っていきたいです。“子どもに関してサポート活動をしたい”“自殺予防の相談員をしたい”など、やりたいことはそれぞれ違っても構いません。自分の気持ちを生かし、行動できる場所がある。そういう所になればいいなと思っています」

支援をする人たちにとっても自主的な活動の場として、ここが居場所になっているんだ、と感じました。

誰でも受け止めてもらえる安心感と喜びがある「楽家」

居心地がいい地域に向け、少しずつ変わってきた感がある

何か活動したいと思っている人を巻き込む場を作りたい、研修できる場を作りたいと「ぼらんたす」を立ち上げた当初の思いは、少しずつ実現してきています。

「メンバーのおかげでここまでこれました。まだまだなこともたくさんありますが、社会の変化とともに諦めずに活動を続けられるのは、一緒に活動してくれる人が集ってきてくれているからです」と栗原さん。

阿部さんは、「栗原さんの情熱が伝わってくるから、この活動を支えたいとみんな思うんです。私の場合は、何か役に立ちたいと思って参加したのがきっかけでしたが、ボランティア活動をする人たちの交流の場に参加したり、研修を受ける機会をいただいて、刺激を受け、かえって自分が良い経験をさせてもらいました。いまやここが自分の居場所にもなっていると感じています」と話してくれました。

「『自分にもできることがあるんだ、もっと早くここを知りたかった!』と言われることが多いんです」と岩波さん。支援を受ける側のみでなく、支援をする側も居場所となる、「楽家」はそういうところなんだなあと思いました。

「こども食堂の利用者アンケートに“たのしかった”“ありがとう”というメッセージを見ると、“よかった”と自分も喜びを感じます。助けを必要としている人が、こども食堂の利用を入り口に、楽家のことをより深く知って、学習支援や相談会など他の支援も利用するようになってもらえるとうれしいです。きっかけづくりに自分が役に立っているんだなと実感します」と岩波さん。

「『みんなが居心地がいい地域になるように』地域が動き始めています。少しずつ変わってきた感があります」と栗原さんは言います。

「楽家を利用する方からたくさんのうれしい声や話をいただきます。人に話を聞いてもらえる機会、受け止めてもらえること、それが大切なんだと思います。雑談もできない環境にいる人もいます。孤独・孤立を感じる人が増えているんです」

地域を越え大きな動きとなるフードバンクへ

全国でも初めての市町村を越える「セブン-イレブン店舗・フードドライブ」の取り組み

ぼらんたすでは次のステップとして「庄内こども食堂等地域ネットワーク」を設立し、ボランティア団体、または行政や企業と協働する、地域を超えたネットワークづくりへ挑戦しています。

「課題は多く、難しいところもありますが、ネットワークを通して会員同士で連携・交流し、顔の見える関係をつくりたいと思っています。活動資金やスタッフの確保など、多くの団体が共有する悩みがあります。交流・相談できる場を設けることで、それぞれの力を発揮しやすくなればいいなと思っています」

岩浪さんによると、食の支援や寄付は地域活動の入り口として一般の人も企業も参加しやすいのではないかと言います。

「地域の農家さんがご好意で作物を持ってきてくれることも、こども食堂で使う食材支援になっています。地域のお店や企業から食品を寄付していただき、それを必要とする家庭へ渡すなどの定期的な食の支援活動(フードパントリー)になっています」

コンビニエンスストアのファミリーマート、セブンイレブンの店舗に食品回収ボックスが設置されています。一般の家庭からの食品の寄付が集められ、食の支援活動に役立てています。

庄内こども食堂等地域ネットワークで取り組んでいる店舗フードドライブの活動は全国で18番目。今回のように庄内地域の各市町をまたぐのは、全国初とのことです。

私もセブン-イレブンでボックスを見かけて、「これは私でも参加できる。必要な人に届くといいな」という気持ちを持ちました。食の支援は活動として入り口になりやすい、という岩浪さんのお話がよくわかりました。

「ぼらんたす」は食の支援だけでなく、資金の寄付も受け付けしてさらに広い活動へつなげていきたいとのことです。

「食品ロスの低減と必要とする家庭への支援を目指し、将来的にはそれを取りまとめるフードバンクの役割を『ぼらんたす』で果たしていきたいと考えています」と岩浪さん。

私はとても期待を持ちました。これにより助けられる将来ある子どもたちがたくさんいるのではないかと思います。

このように地域で温かい気持ちを受けて育った子どもたちは、自ずと温かい気持ちを大事に生きていくのではないだろうか、そう思いました。

「『楽家』を居場所にして育ったこどもたちは、社会に出て、困ったときにあきらめなくてもいいんだとおもいを持ってもらいたい」と阿部さん。

「『助けて』と言えるハードルが低くなるように、受け止めてくれる人がいる場所、おいしいものを食べられる場所として『楽家』は、これからも地域に発信して働きかけていきたいと思っています」と栗原さん。

出会い、つながり、支え合う、地域に必要な「居場所」。家族や地域間のつながりが薄くなり孤独を感じやすい今だからこそ、必要なのだと感じ、温かくなりました。

栗原さん、阿部さん、岩浪さん、それぞれの立場からお話しいただきました。ありがとうございました。

「ぼらんたす」の開催する相談会やサロンの日程はe-Townsのイベント情報にも載せていますのでご覧ください。
https://www.e-towns.ne.jp/event_type/seminars-lectures/

 

e-Towns読者のクチコミ情報