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【連載コラム】
地元に活気を取り戻そう! アクティブ世代が地域を元気にする商売論 ー人口減少時代の広告・PR・地域活性化の新常識ー

株式会社アイディア 代表取締役 北風秀明

第4回 大手企業ができないことで差別化する

大手企業のマーケティング戦略は、私たちの想像をはるかに超えている。

テレビCM、新聞広告、折込チラシ、SNS広告、Web広告、店頭イベント。ありとあらゆる手段を使い、顧客に認知してもらい、購入してもらい、ファンになるまでの流れを緻密に設計している。

例えばイオンやAmazonをはじめとする全国規模の企業は、莫大な予算と優秀な人材を投入し、科学的な根拠に基づいたPDCAサイクルを回している。私たちが毎日使っているスマートフォンからも、行動履歴や閲覧履歴などが蓄積され、それらはビッグデータとして高度なマーケティングに活用されている。※スマートフォンの設定や使っているアプリに拠る。

地方の小さな企業が、同じ土俵で真っ向勝負をしてとても勝てる相手ではない。

中にはその一部の手法を中小企業向けに提供するサービスもある。SNS広告やポータルサイト、予約システムなどは比較的手軽に利用できる。

しかし、それらはあくまで大手が作った仕組みの上に乗るものであり、自分の店に最適化されたものではない。また、利用するほどプラットフォーム側にはデータが蓄積されていくという仕組みだ。

 

では私たちに勝ち目はないのだろうか。

私はそうは思わない。

スポーツでも格闘技でもそうだが、強い相手には強い相手なりの弱点がある。大きな組織だからこそ手が届かない領域がある。

それは「人の気持ち」だ。

 

デジタルマーケティングは、人を属性や趣味嗜好、行動履歴によって分類し、最適な広告を届けようとする。

確かに非常に優れた仕組みだ。

しかし人間は、そんなに単純ではない。

例えば、普段は時短料理ばかり作っている人が、ある日突然、手間のかかる料理を作りたくなることがある。

なぜ今日なのか。

どのくらい手間をかけたいのか。

それは本人にも説明できなかったりする。

また、普段は人との会話を避けたいと思っている人が、ある日ふと誰かと話したくなることもある。

そんな時、その人は効率的なチェーン店ではなく、話を聞いてくれる店主のいる小さな店を選ぶかもしれない。

人には気分がある。

感情がある。

そして例外がある。

私はここに、大手企業の苦手分野があると思っている。

 

大手企業は効率化が得意だ。

標準化も得意だ。

しかし、一人ひとり異なる感情の揺れに寄り添うことは得意ではない。

なぜなら、それはひどく効率が悪いからだ。

私たちはつい、大手企業の真似をしたくなる。

SNSを頑張る。

動画を作る。

ネット広告に課金する。

もちろんそれも必要だ。

しかし、私たちには私たちの武器がある。それに気がついているだろうか?それは大手企業に対して時に非常に有効な武器だというのに。

 

その武器とは、

顔が見えること。

想いが伝わること。

お客様一人ひとりに合わせられること。

そしてこの地域をよく知っていることだ。

そこに、私たち中小企業のチャンスがある。それはたった一つのチャンスと言っていい。

商品力、価格、システム、広告予算。

こうした分野で真正面から戦えば勝ち目はない。

しかし、私たちは人と人との関係性や、小さな気持ちの変化に寄り添うことならできる。

このごく当たり前のことが、実は大手企業のマーケティングが最も苦手とする部分なのだ。

 

前回お話ししたアクティブ世代へのアプローチも同じことだ。

デジタルだけでは伝わらない価値を、アナログで、一人ひとりに丁寧に届ける。

その積み重ねこそが、地域の中小企業にとって最も強力な差別化になる。

大手企業と同じことをして勝とうとするのは、自分を騎士と思い込み、風車に突撃していくドン・キホーテのようなものだ。

戦う場所と方法を間違えてはいけない。

孫子の兵法に「敵を知り己を知れば、百戦危うからず」という言葉がある。相手の実情を知り、自分の実力や弱点も理解していれば、何度戦っても危険な状況には陥りにくい。という意味である。

私たちは私たちの強みを知り、それが生きる場所と方法で戦うべきなのである。

 

では具体的に何を伝えればいいのだろうか。

値段か。

品質か。

機能か。

実はそうではない。

次回は、大手には真似のできない「人で選ばれる店づくり」について考えてみたい。