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【連載コラム】
地元に活気を取り戻そう! アクティブ世代が地域を元気にする商売論 ー人口減少時代の広告・PR・地域活性化の新常識ー

株式会社アイディア 代表取締役 北風秀明

第1回 人口が減っているのに、なぜ若者ばかり追いかけるのか?

会社を立ち上げて今年で23年になる。当時31歳だった私も、早いもので54歳になった。

その間、自分自身も変わったが、世の中も大きく変わった。インターネットが普及し、スマートフォンが当たり前になり、そして今はAI(人工知能)が急速に私たちの生活や仕事を変えつつある。

新しい技術は本来、人間を豊かにするために生まれてきたはずだ。しかし、その進化のスピードに私たちは本当に幸せになっているのだろうか。そんなことを考える場面が増えた。

 

夕方になると、会社には毎日新聞配達のおじさんが荘内日報を届けてくれる。

「お疲れさまです」

「ありがとう」

そんな何気ないやり取りが、「今日の仕事もそろそろ終わりだな」とほっとした気持ちにさせてくれる。

その日の一面は、庄内地方の人口に関する記事だった。

庄内5市町の人口は、この5年間で2万1,108人減少し、減少率は8%。前回調査時の5.8%からさらに拡大したという。特に若い女性の減少率が高く、進学や就職による県外流出の影響が大きいと書かれていた。

私は記事を読みながら、ふと思った。

「今の鶴岡市の人口ピラミッドはどうなっているのだろう?」

パソコンで検索すると、すぐに人口ピラミッドの図が見つかった。

 

 

その図を見た瞬間、私は言葉を失った。

いわゆる若い世代の人口は、私たち中高年世代の半分どころか、3分の1にも満たない。

団塊の世代、その子どもである団塊ジュニア世代までは大きな山がある。しかし、その次の世代になると急激に細くなり、人口減少の現実が一目で分かる形になっていた。

私はしばらくその図を見つめていた。

庄内の未来がそこに描かれているような気がした。

 

皆さんはこの図を見て何を感じるだろうか。

「若い人を増やさなければ」

「移住者を呼ばなければ」

そう思う人もいるだろう。

しかし正直なところ、多くの人はこう感じるのではないだろうか。

「もう遅いかもしれない」

「増やすのは難しい」

そんな、どこか諦めにも似た感情である。

人口が減れば市場は縮小する。経済も縮む。商売はますます厳しくなる。

私自身もそう感じた。

地域の役に立ちたいと思って始めたタウン情報誌の仕事だったが、何の力にもなれなかったのではないか。これから先、自分たちの役割はあるのだろうか。

そんなことまで考えてしまった。

 

その夜、私は家に帰り、妻にその話をした。

妻はe-Townsの編集長でもある。

私の話を一通り聞いたあと、妻はこう言った。

「人口減少を嘆く前に、今いる人を見ようよ」

私はハッとした。

「私たちの読者はたくさんいるじゃない。若い人ばかりに目が行くけど、一番人口が多いところにちゃんと届けばいいのよ」

その瞬間、あの人口ピラミッドが再び頭に浮かんだ。

そうか。

人口の多いところが元気になればいいのだ。

地域で一番人数の多い世代が元気になれば、地域全体も元気になる。

私はそう思った。

 

現在、多くの業界で開かれているセミナーのテーマはSNS活用である。

Instagram、TikTok、YouTube。

個人店も行政も、一生懸命に写真や動画を作り、情報発信を続けている。

もちろん、それ自体は素晴らしいことだし、やらないよりやった方がいい。

しかし私は、そこに少し違和感を覚えている。

その情報を熱心に見ているのは誰なのだろうか。

人口ピラミッドの先細った部分にいる若い世代ではないだろうか。

一方で、地域の人口のボリュームゾーンである50代、60代、70代の人たちはどうだろう。

SNSを見ることはあっても、それが生活の中心ではない。

むしろ、

「若い人たちは頑張っているな」

「自分たちの世界とは少し違うな」

と感じている人も少なくない。

SNSは情報が次々と流れていく。

気が付けば何十分もスクロールしているのに、心に残っているものは意外と少ない。

私たちミドル世代以上は、長い人生経験の中で、自分自身とも社会とも折り合いを付けながら生きてきた。

だからこそ、情報にも深さを求める。

じっくり考え抜かれた提案。

経験に裏打ちされた言葉。

人柄や想いが伝わる物語。

そういうものに心が動くのである。

 

人口減少時代に必要な広告やPRとは、単に多くの人へ情報を流すことではない。

世代ごとの価値観や感性を理解し、それぞれに合った方法で届けることだ。

そして何より大切なのは、人口が減ることを嘆く前に、今ここにいる人たちに目を向けることである。

私たちe-Townsは23年間、庄内の店や人を取材してきた。

その中で感じるのは、人口減少以上に大切なのは「人の元気」であるということだ。

地域の未来は数字だけでは決まらない。

今いる人たちがどれだけ地域を好きになり、楽しみ、行動するかで変わっていく。

次回は、地域の未来を支える「アクティブ世代」とはどんな人たちなのか。そして、なぜ彼らが庄内を元気にする主役なのかを考えてみたい。

 

※出典/GD Freak https://jp.gdfreak.com/public/detail/jp010050000001006203/16